インプラントの歴史について簡単に紹介します
インプラントは新しい歯科治療とのイメージがありますが、実は紀元前の昔から歯科治療としてのインプラントが試みられていたことが古代遺跡から発見されています。
現在、人類の歴史上最も古いとされるインプラントは、トルコで発見された石製のインプラントで、なんと紀元前550年頃のものだといいます。
ただし、このインプラントは、実際に歯の代わりとして機能出来ていたかは疑問で、儀式などの為だけに使われていたのかも知れません。
紀元600年頃には、メキシコ南東部で栄えた古代マヤ文明において真珠貝製のインプラントが使われていたことが分かっています。
高度な建築技術や暦、計算術を持っていたマヤ文明らしく、インプラントが生前に口腔内で機能していたことも遺跡(写真)の調査によって判明しているようです。
これが現在発見されている中で有効性が確認されている最古のインプラントとされています。
この他、インカ文明やアステカ文明でも古代インプラントが遺跡として発見されているようです。
近代になって、ステンレスやコバルトクロム、金、サファイヤなどを利用したインプラントが試みられたようですが、これらの予後は悲惨なものだったようです。
チタンとは違って、骨と結合することはなかったことが根本的な原因でしょう。
医療技術も全ての要素において現在よりはるかに遅れているので、失敗した後の治療も難しかったのでしょう。
前頁でも触れたように、1952年にスウェーデンの医師ブローネマルクがオッセオインテグレーション(骨結合)を発見したことでインプラントは治療として確立されたものに変わっていきます。
素材としてチタンが導入されるようになって、インプラントは極めて良好な成果をもたらすようになったのです。
生体に不活性であるチタンは、これまでの素材と異なり骨と直接結合する性質を持っていたのです。
日本では、1980年代になって歯科治療の選択肢として積極的に取り込まれるようになりましたが、当初は人工サファイアを使ったインプラントが行われるなどトラブルも多かったようです。
世界的な流れとしては、1988年のトロント会議で、世界中の著名なインプラントジスト(インプラントをする医師)が集まってコンセンサスレポートを打ち出しました。
「5年85%、10年80%以上の生存」を成功の基準として認め、世界的にチタン製のインプラントが開発・利用されるようになり、安全かつ予知性の高いインプラントの時代が到来しました。